バイクのハンドル操作について
                                                

 バイクは車体の左右の傾きについて、支えるものが無く、運転者が車体のバランスを取りながら走行しなくてはなりません。

 バイクは車体が傾いた状態で真っ直ぐ走れるでしょうか?答えは走れません。小さなバイクなどで極端に体重を移動して走ればそのようなことも可能なのですが、基本的に傾いた方向にハンドルが切れて旋回を始めます。

 走行中バイクで曲がるためには、曲がりたい方向に傾きをつけなくてはなりません。当然曲がり終わるときには車体を地面に対し垂直に戻さなくてはなりません。

 ではそのバランス(車体の傾き)はどのように取ったらいいのでしょうか?
1、バランスは、まず車体の傾きを正しく把握しなくてはならない。
  自分の走行状態をしっかり把握することが最も大切です。車体が地面に対し垂直であるのか、または僅かに傾いているのか、正しく把握することが大切です。そのためにはニーグリップ(ひざの締め)が緩いと車体の僅かな傾きを、体が把握できなくなります。
2、左右方向に体重移動しない(重心位置を変えない)こと。
  バイクが僅かでも傾き始めると旋回が始まります。傾くと自分が旋回したくないときに旋回が始まろうとするため、多くの初心者の方は、体重を移動して(ひざを開いたり、上体を傾けたりして)車体の傾きを修正しようとします。ある程度の傾きまではこの体重移動によって修正が可能なのですが、限度があります。体重移動でバランスを取る習慣をつけてしまうと、正しいハンドル操作ができない人になります。
3、ハンドルを切った方向と逆に車体は傾く。
  走行中車輪にはジャイロ効果が働きます。ジャイロ効果について説明を始めると長くなるので割愛しますが、結果的に走行中ハンドルを右に切れば車体は左に傾き、逆にハンドルを右に切ると左に傾きます。ハンドルを切る速さや、力のかけ方、また車速などによって車体の傾く早さは変わってきますので、運転者はその状況を総合的に考えてハンドル操作で車体の傾きの調整をしなくてはなりません。
4、行きたい方向にハンドルを切るのではなく、行きたい方向に車体の傾きを調整する。
 車体が傾くと傾いた方向にハンドルが切れ始めます。そのまま旋回したい場合にはハンドルから力を抜いて、速度を変化させなければ旋回状態が続きます。旋回を終わらせ直進状態に戻したいときは、ハンドルを真っ直ぐに戻すのではなく、旋回方向にさらにハンドルを切り込んで車体を垂直に戻さなくてはなりません。(ハンドルがそれ以上切れないようなときは、速度を足してやると車体は起き上がります。)車体が垂直になったとき、ハンドルから力を抜けばどんなにハンドルが切れた状態でも、ハンドルは直進状態に戻ります。
5、速度が0ではジャイロ効果も0。
 これらのハンドルや車体の動きは、全てジャイロ効果によるものです。ジャイロ効果は回転している車輪に働く力なので、速度が0になれば当然その効果は期待できません。厳密に言えば速度は0でも当然エンジンのジャイロ効果もありますが、そこまで使いこなせるライダーならこれを見なくても話は済むでしょう。つまり、止まっている車体は足を付いて支えるか、体重移動などでバランスさせなくてはなりません。バイクを停止させたときに大きく傾いていれば当然重たいバイクを足で支えるようになります。耐えられなければいわゆる「立ちゴケ」ということになります。
 是非、これらのことを踏まえてハンドル操作をしてみてください。これがバイクのハンドル操作の基本になります。

 もちろんバイクの運転操作には様々なシチュエーションがありますから、この場合にこう操作しなくてはならない、なんてことはないのですが、基本の操作は様々な操作に応用できます。

 ちなみに教習の中で旋回をするためには、体重移動などは必要ありません。バンク(傾き)はハンドル操作でつけます。

 よく、バイク通と言われている人や、雑誌などで著名なモータージャーナリストなどが連発する、「体重移動」や「ステップ荷重」という考え方は、ハンドル操作がしっかり分かっている方には必要ないはずです。(もちろんレースなどのハイスピードの世界や、トライアル競技等の速度が極端に遅いときには必要な場合もありますけどね)

 基本的なこれらの操作をしっかり覚えた方は、すぐに応用操作も覚えられると思いますが、基本の操作がよく分からずにカンに頼ってばかりの人は、上達も遅くなります。

 

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